映像の授業のメモ

ニューシネマパラダイスアルフレードがトトの

ために窓を開けて民家の壁に映画を映してやっ

て、しかしフィルムが燃えて大火事になって、失

明してしまうシーンがあるんだけどその時代に使

われていたフィルムはナイトレートというらしい

現在はアセテートやポリエスターといった不可燃

性のフィルムが使われている

エマルジョンはゼラチンとイメージの構成要素で

できている

フィルムの構造はファストとスロウという二層に

分かれている

カラーの場合

大元のネガフィルムが一番情報量が多くて

プリントしたとてネガフィルムは捨てられない

デジタル化するときもネガフィルムをデジタル化

しなければならない

しかしネガフィルムはオレンジ色なので、

ポジフィルムがないと色彩が分からない

暗い部屋で強い光を当てると反転してポジになる

そのポジフィルムをフィルム映写機にかけて観る

 

アナログは撮ったことを忘れていても

そのフィルムが残っていれば大丈夫だが

デジタルはアクティブに(意識的に)保存する行為

をとらないといけないのでデジタルの方が危険

 

ネガフィルムとポジフィルムの間にデュープネガ

とマスターポジがある

世界中に映画をみせる際に大量にポジフィルムを

作らないといけないのだが、人間がネガフィルム

を触ったりすると傷や埃がついたりするとOUT

そのためにあるとげマスターとデュープ

アメリカ国内ではネガとマスターを保管して、

海外にデュープを輸出してしまえば、その国の現

像所で焼いてもらえばいい

しかし日本ではこれを作らなかったから、昔の日

本映画はオリジナルネガを何度も擦って来たから

 

水郡線に乗って

おばあちゃん家に行く

午後から東京駅に向かい

特急ひたちに乗って水戸へ

f:id:kzombie:20240422011830j:image

足利へ行くときの"りょうもう"もそうだったけど

特急はやっぱり快適でハマってしまう

なにより、窓辺に肘をついてウトウトできるのが

心地良い

水戸で水郡線に乗り換え

今回は水郡線の車窓の景色を観たくて電車で来た

ので、ワクワクが止まらなかった

竹藪を通り抜けると

山川の景色が目に飛び込んでくる

千と千尋の神隠し千尋神隠しに遭う引越し先

の街並みにそっくりな風景があった

"下小川"という駅だった

f:id:kzombie:20240422012208j:image

やがて実家の矢祭に到着

あまりにも田舎すぎる場所だけど

まあこうやって服についた東京の埃をはらえる場

所があるってのも幸せだと思う

f:id:kzombie:20240422012426j:image

虎に翼

真昼に溜まっていた朝ドラを観る

米津玄師の主題歌がいい

引き算の美学というか、疲れた朝に聴こえてきた

ら一番心地よいメロディを分かっている

数年前の秦基博の泣き笑いのエピソードも好きだ

ったし、当然スピッツの優しいあの子は大好き

米津玄師はボカロ時代の昔からしっとりしたメロ

ディの中での表現力が良いなと思っていたので

今回の「さよーならまたいつか!」はすごく楽しい

内容はというと

女性初の弁護士となる三淵嘉子がモデルのヒロイ

ン猪爪虎子の奮闘記

主演は伊藤沙莉

映像研でこの人の存在を知ってから数年推してき

たけど、やっぱりこの人の演技にははコミカルさ

があって、そのままやると説教臭い作劇になるよ

うなものを何倍も見やすくしてくれる

"男女平等"とありとあらゆる場所で叫ばれる今の

時代にピッタリな重圧にめげない女性たちの物語

ということなのでやはり説教臭さは感じるんだけ

ど、伊藤沙莉の一個一個の表情がいい意味でクラ

シカルで、"今の時代へのアップデート"みたいな

かましさはなくてかわりに当時の女性の強さと

苦しさをライトに感じられるお話になってる

 

 

 

くせつよ講義

和泉に行って今年も永野先生の講義を聴講する

初回では鬼滅の刃を解説してくれた

先生はこの大ヒット漫画において

鬼殺隊は"利他主義"の象徴であり

一方で鬼側は"利己主義"だと唱える

鬼滅の刃は意図的に敵役を利己的なIT社会のよう

に描いているのだという

その証拠に鬼殺隊の通信手段は超アナログな"烏"

なのに対し、鬼の思考回路は鬼舞辻無惨様に覗か

れてしまうことになっている

そして半分鬼化した妹を背負う主人公の炭治郎

1話で冨岡義勇が禰豆子を斬ろうとした際に、自

分が勝てないと分かって斬り掛かる素振りをして

実は直前に空中に向かって木の棒を投げていたと

いうシーンがある

先生はここをまさに主人公の自己犠牲精神を簡単

に説明してしまうシーンだと褒めていた

そして先生は

鬼側は"たたかって"おり、味方側は"さまよって"

いるのだという

鬼側は致命傷を負わない限りは不死身であり、

不死の力を手に入れるために生きている

"生き残りたい"が最優先事項なのに対して

鬼殺隊は限りある命のバトンを受け継ぎながら

死んでいく

鬼殺隊の考え方は仏教に基づいているらしい

その証拠に鬼殺隊最強キャラの悲鳴嶼行冥は数珠

を首から提げて合掌している

一方で鬼側が死んでも蘇るのはゾンビやドラキュ

ラといった西洋的なエッセンスらしい

たしかに鬼舞辻無惨は"鬼"であるのにもかかわら

ず白いハットに洋服を着こなしている

鬼滅の刃は最終的に炭治郎の子孫たちがスマホ

使っている

まあこじつけなんだろうけど、それでも信じてし

まうような感じがクセになる講義だ

ミメーシス

合田先生の講義を受けるのは2年ぶりだろうか

あのときはまだ大学生になったばかりでいろいろ

浮かれていたから単位を取り逃してしまった

1年後に表彰式でお会いした時に優しく激励して

いただいたとき、またこの人の講義を受けたい!

と思った

それで3年になって、"芸術と哲学"という講義をと

ることができた

この人の語り口はやっぱり凄みがある

いろんなジャンルを網羅してるはずの僕が全然知

らなかったジャンルのことを教えてくれる

1年のときも教わったけど、模倣という行為は決

して咎められるべきものじゃないのだ、むしろ愛

のある人間の営みなのだということらしい

これから作家になるかもしれない僕にとってはめ

ちゃめちゃ参考になる話だったりする

鬼は内

ゼミの発表が5月10日に決まったので

テーマをぼちぼち決めていかなければならない

歌舞伎研究者の先生のゼミなので

僕は近松門左衛門の"虚実皮膜論"をSFにあてはめ

てみようかなあなんて思っている

具体的に言うと僕が大好きなウルトラセブンの神

回、第8話『狙われた街』をついに僕と同世代の

みんなとセブン世代の先生の前で発表してみよう

と思う

これはワクワクだなあと思いつつ、歌舞伎研究者

の先生の前で簡単に「これって虚実皮膜で~」な

んて語るのは烏滸がましいので、しっかり研究に

研究を重ねていきたいな

プレゼンの内容もそうだけど1年のときみたいに

テレビ番組風の編集を久々にやってみるのもアリ

だなあと思ったりする

日常SFの代表で『狙われた街』と『ドラえもん

のび太の宇宙開拓史』を使うのは確定したけど、

たとえば平成以降の日常SFとして『シュタイン

ズ・ゲート』を挙げたり、それから日常SFじゃな

くても虚実皮膜は存在するのか?という問の答え

として『インデペンデンスデイ』の特攻シーンを

見せてみたら面白いんじゃないかな

あの特攻シーンは中学の国語の先生が授業ほった

らかしで見せてくれたのが出会いだった

数年経てこうしてあの先生の熱意に自分の感性で

培った熱意で呼応できてるのがすごく嬉しい

超巨大円盤の穴に変なおっさんが特攻して地球が

守られるというめちゃめちゃファンタジーな場面

果たしてそこに芸術の本質を見出すことはできる

のか?僕は大いにあると思うね

逼迫した局面を打開してくれる最後のピースは誰

からも信用されていないヘンな奴かもしれない

その説得力

 

東京都小平市では「鬼の宿」という独特な文化が

根付いている

節分の日は豆をまいて災いの象徴である鬼を退治

するのが一般的なのだが

小平のとある集落では節分の日に小豆飯を炊いて

御神酒を供えて灯明をつけることで、逆にみんな

から退治された鬼を迎え入れるらしい

たとえ災いをもたらすかもしれない鬼でも、きっ

となにかいいものをもたらしてくれるのでは?と

いうすごく温かいお話

そんな人間愛に満ち溢れたこの作品はへたな文芸

作品よりもよほど心に訴えてくるような気がする

超巨大円盤に特攻して勝利するという明らかな虚

構の直前にヘンな奴のコックピットにも家族写真

があるという現実を見せてくる素晴らしい構造

 

真昼の決闘

今日は5つも講義があったので疲れた

帰ってきて『真昼の決闘』を上映する

f:id:kzombie:20240416042420j:image

この間ミュージアムで見た

藤子・F・不二雄の書斎にもポスターがあった

西部劇の傑作中の傑作

晩年の西部劇にスタイリッシュさでは劣るけど

街を守る保安官である主人公が次第に孤独になっ

ていき、仲間を募れない部分にどことなくノワー

ルっぽい陰鬱とした雰囲気を感じて面白い

白黒の西部劇はあまり見たことが無かったけど

ちゃんと特有の面白さがあった

好きなショット↓

f:id:kzombie:20240416070955p:image

なによりグレース・ケリーが美人