2023-09-22

酷い雨。

バイトまで空いていたので時間稼ぎ。

久方ぶりに大学の映像資料鑑賞施設を利用し、

アルトマンの『ロング・グッドバイ』鑑賞。

原作者チャンドラーの探偵マーロウとはだいぶ違

うらしいのだが、エリオット・グールドのそれは

非常にイカした野郎だった。

舞台はアメリカ。

いきなりカメラが猫をとらえて、その猫がシブい

男を起こす。そして彼は眠い目をこすりながら猫

のキャットフードを買いに深夜の街に出かける。

この瞬間にただの映画ではないということがよく

分かるのだが、カメラが常に動いているのも相ま

って、どこか夢遊体験のような感覚。

翌朝目を覚まして外に出ると、斜向かいのバルコ

ニーではヒッピー女集団がくねくねダンスを踊っ

ている。街並みにはだる〜い空気が漂っている。

マーロウは冗談を用いてそういった空気を翻し

て、やがて自身も巻き込む事件に携わっていく。

このあたり、あくまでマーロウが"傍観者"でしか

ないのが非常に秀逸。

誰かのために全力で解決を目指す探偵の形がある

のなら、荒廃しきった時代の人間の様子を呆れな

がら眺める探偵がいてもいい。

ただ最後はいつの間にか見ていた夢から起こされ

るように、あまりにも唐突な幕引き。