落語:ファイナルエース

今日Xのトレンドに"春風亭昇太"という名前が上

がっていたから、あららまたスキャンダルか...笑

点もとうとうおしまいなのか...なんて一瞬思った

んだけど、そんな下らない世話事なんかよりよっ

ぽど痛快で面白い事件が勃発していたのだった

 

"ファイナルエース"というアカウントの

春風亭昇太が素人にもわかるレベルで練習不足

で地獄だった」というなんでもない批判のポスト

が7万を超えるいいねを獲得していた

ふだん世間のあれこれに批判的な僕からすれば、

なんでこんな大したことない批判ポストがバズっ

ているのか不思議でならない

 

実はそのポストに紐付けて投稿された方が、この

事件を事件たらしめる事の発端である

そこにはあろうことか

「匿名で貶めるのは流石にアレだから載せる」

という文章とともに、ポスト主のマイナンバーの

写真が載せられていた

目を疑うようだが、そこには本名と顔写真と住所

(流石に身バレを恐れて一部だが)がしっかり記さ

れており、ポスト主は春風亭昇太を批判するため

になんと個人情報のほとんど全てを自己開示して

しまったのだ

 

それに対する有象無象の匿名の反応は

「無敵の人怖い、、、」

「大丈夫?」

という恐怖や心配の一方で

「覚悟がすごい、アンタを尊敬する」

「勇気が凄すぎる」

という激賞もたくさんあった

 

実は僕も

去年まであえて本名でXをやっていたことがある

正直な意見をあの無法地帯に浮かべるときに

まずそれがたくさんの人の目に留まる覚悟をしな

ければならないと思ったからだ

本名でつぶやけば抑止力になるだろう

それに匿名のときよりもずっと

自分の発言の是非をちゃんと考えることができる

 

しかしそんなこと結局虚空に向かって正義を振る

う自己満足の自傷でしかなかった

的を得た発言をしたとしても、匿名制度に護られ

たお気楽な連中に一蹴される始末

埒が明かないので本名でのXは無期限の活動休止

かわりに匿名に戻した途端に今日の事件だ

 

僕はそれはもう見事だと思った

ファイナルエースとかいうよく分からない奴が

たかが演芸に対して、いち観客としてわざわざ匿

名制度を破ってまでXの場で勝負を仕掛けた

そんなの現代の勇者だ

何が素晴らしいって

とくに笑点の司会への私怨でもなんでもない

ポスト主はただ単に"観客"として、"落語家"に物

申しただけなのである

春風亭昇太からすれば

こんなに覚悟の決まった人間が寄席にいるのだと

思うともうそれは恐怖だろう

恐怖を誤魔化すあまり

煎餅や和菓子を食べる食べる

もはやこの騒動自体が落語の演目のようで

おかしくってたまらない

 

だけどもし仮にこのポスト主が

"たかが春風亭昇太への批判のために個人情報を開

示する"という行為で現代の悪しき風習に一矢を報

いた"のだとしたらどうだろう

無法地帯のアノニマスグラウンドに

"そこまで言いたいのならファイナルエースみたい

に個人情報を開示するくらい覚悟しろ"

という素晴らしい但し書きが加わる可能性がある

それが実現すれば勇者どころじゃない

きっとポスト主は英雄になるだろう

もうどうしようもなくなってしまった現代のどん

詰まりに向かって特攻した英雄として

"ファイナルエース"の名に恥じない時分の救世主

として名が刻まれるだろう

 

ここでまた映画を絡めるとするならば

今回の事件はまさに

"令和のインデペンデンスデイ"

ファイナルエースの見た目も相まってエメリッヒ

もびっくりな素晴らしい特攻だった

 

結局時代を変える一撃というものは

名も無き変人の手に握られている

そんな可能性を感じて勝手に嬉しくなった