Y字路

新年映画初めは新海監督の『言の葉の庭

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歩けなくなってしまった大人

不格好な靴を作り続ける高校生

 

図書館で『メダリスト』という漫画を読んだf:id:kzombie:20240104175543j:image

面白い!とチマッターで話題になっていて

年内にアニメ化も控えている

フィギュアスケートを題材にしているのだけれど

才能や運という障壁を誤魔化さず描いていて

個人的に結構好みなスポコンだった

 

好みなのに、途中からページを捲る指がこれっぽ

ちも動かなくなってしまった

ポテチは永遠に食べられる自信があるけど、深刻

口内炎ができてしまった場合、話は別である

つまり、これは漫画との相性とかではなく、今の

僕の心の中に何らかの腫瘤ができている兆候

 

その原因は自分がいちばんよく分かってる

日常の些細な不安を解消してくれるはずのフィク

ションに煽られるようなことがある場合

たぶんそれは相当大きい不安で

おそらく人生規模の不安なんじゃないか

フィクションをよすがにしていないかつての僕は

それ相応に不幸で無愛想だったろう

だけど

その頃の僕にあって今の僕にないものがあり

その正体となるものがさっき心の底にドスンと落

ちてきた

 

そうしてその勢いで『つげ義春大全』を読む

今の僕は"無能の人"まっしぐらだ

自信過剰

故に勝負事をいつまでも後回しにして

いつの間にか朽ちていく男の痛々しさ!

だのに読んでいてどこか安心してしまう

つげ義春の漫画は登場人物に親近感を抱いて安心

するためにあるものではない

人生のテーマと向き合いつづけ、尾羽打ち枯らし

た中年にとってはその読み方でいいと思うけれど

青年は青年らしく、あれを読んだ途端に

心の警鐘がジリジリ鳴らなければ危険である

 

宮崎駿の映画から持ち帰ってきた石ころも

誰も来ない河原の小屋に並べているだけじゃ

無意味じゃないか

その感性が間違っていないことを

もっと誰かに証明したい

自分は勝負をする主人公像を目指すのであって

風刺漫画が捉える人間像にはなりたくない

そっちの方が人間らしいと映画や漫画に教わった

けど、ある程度勝負もしないまま不貞腐れていく

のはあまりにも格好がつかないだろう

蓄積のために後回しにする時期は昨年まで

 

新年早々重たいビンタを喰らい

メダリストか無能の人のY字路にさしかかった

そして今日はっきりさせてもらった

せっかく沸騰させた野心を抱えて東京に来たのに

危うくすっかり冷やしてしまうところだった

2022年に滾らせた野心に、2023年に培った鷹の

目を宿らせて東京にカムバックする

それが今年節目の年を迎える僕の目標だ