秋保温泉

本来今日は地元の友達とどこかで遊ぶ予定だった

んだけどいろいろ予定が変わってなんか地元でち

んまり遊ぶ感じになってしまった

地元に根っこを張った奴の主張の強さたるや、、

そういう嫌な人間が嫌で嫌でこっちに来たんだよ

なと思い出す出来事だった

本当はそのためにバイトを休んだんだけど、"バイ

トが休めないてい"でお断りすることにした

交通費をかけてわざわざ会いたい感じでもない

 

そのかわりに弾丸だ 弾丸で一人旅

その行き先というのが

地元を素通りして仙台は秋保温泉なのだから僕は

僕で嫌味な人間だと思う(笑)

いやべつに嫌味でそこに決めたわけでなくて

急に温泉に入りたくなった訳でもなくて

"田植踊"を見に行くんです

それは昨夜のこと

ユネスコ重要無形文化財に登録された祭祀が近

頃やらないか風呂に浸かりながら調べていたとき

たまたま気になったものがあって

ふと開催日時を見ると、なんと明日

こりゃ驚いた

"秋保の田植踊"

よくある予祝芸能とは違って、より芸能性が強

く、日本で意外と数少ないユネスコお墨付きの民

俗芸能らしい

去年の6月に広島は壬生の花田植に行って以来の

フォークロア旅ということになる

 

特色はやっぱり子どもが主役ってところかな

そもそも今日5/5はこどもの日だし

やっぱりこの民俗芸能は子どもがメインで、もし

かすると子どものエネルギー(道教ではそれ

を"気"と言う。生まれた時がいちばん強くて死に

近づくにつれて弱まっていく。)をよすがにしてい

るようなところに独自性がある

花田植でもかつては処女が早乙女だったそうだが

さすがに現在は村のお嫁さんになった人がやって

いたし、田の神に奉仕する重要な役がおそらく村

の小中学生たちによって演じられるっていうのは

面白い

秋保小学校では年に12時間ほど"民間伝承の授業"

としてこの田植踊を教えているらしく、脈々と受

け継がれる伝統を途絶えさせんという意志の強さ

を伺える

 

寝坊が怖いから徹夜して行こうと思ったんだけど

未明に買い替えたベッドのマットレスを粗大ゴミ

に出すという作業を終えて安心してちょっと大き

めの新しいマットレスでスヤスヤ寝てしまった

前と同じメーカーだけど思いのほかフカフカ

やっと大の字で寝れる喜びに負けてしまった

起きたら8時だった

焦って支度

イベントは11時30分から

時刻表で間に合いそうなルートを探すが

仙台から秋保までのバスの噛み合わせが合わない

とりあえず40分遅刻くらいは妥協するか...

いやもし終わってしまっていたら今回の旅行の意

味がないのではないか...

とかいろいろ逡巡しつつも

先に新幹線の指定席をたっか!と思いながら買う

新幹線に乗りながらいろんなルートを調べるが

なかなか11時30分に近い着がない

もう諦めモードに入って牛タンでも食って帰ろう

かと思っていた矢先

めっちゃいいことを思いついた

2時間寝たおかげで頭が冴えたのだろう

温泉街ということは、近くに旅館がある...

いい旅館には、シャトルバスが通っている...

むしろシャトルバスなら無料で行ける...

...シメタ! 🔍秋保温泉 シャトルバス で検索ゥ!

するとすぐ近くの最高級旅館 佐勘の無料送迎シャ

トルバスに11時45着のものがあるではないか!

すぐ予約して、ついでに弾丸馬鹿をしないように

帰りのバスもきっちり予約した

あー落着落着!

と思いきやスマホの充電器を忘れてきたことに気

がついた、やってしまった...

こんなときは

"この世に客に来たと思えば何の苦もなし"

出羽・陸奥の藩主伊達政宗の名言を思い出そう

 

仙台に到着

おそらくSASUKEにどハマりしていた中学3年時

にミニSASUKEなるイベントに参加して以来7年

振りとかになるんじゃないだろうか

最高のお天気

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今回は駅周辺には用はないので

そのままシャトルバス乗り場へGO

SASUKE、ではなく佐勘のバスは

別に僕が最高級旅館に泊まる客でもないと身なり

で分かるだろうに、普通に出迎えてくれた

 

GWで道が混んでいたが定刻通り11:45に到着

遠くから囃子の音が聞こえてくるので

そっちの方に歩いていくと"田植踊"の会場だ

やはりもう既に始まってしまっているらしい

思っていたより境内が小さめで集まった客もおそ

らくほとんど全員地元の方々だろう

30人程度しかいなくてこれがほんとにユネスコ

定の催し物なのかと疑ってしまう

クソ暑いのにさほど大きくもない畑に1000人以上

見物客が集まっていた壬生の花田植はえらい違

いだな

踊っているのはやはり子供たちで

ほとんどは中学生かな、みんな表情が固いな...

早く帰ってゲームしたいと思ってるんじゃないか

弥十郎に扮した男子がまず舞って口上を述べる

このへんはちょっと歌舞伎めいたところがある

続いて早乙女のお出まし

頭には華美な花笠、色鮮やかな着物を着ている

手に輪っか状になった鈴をもっていて、これをシ

ャンシャン鳴らしながらまるで田畑を耕すかのよ

うな動きで舞を舞う

ちなみに僕はというと

灯篭の影から一眼レフで写真を撮るのに夢中で

スマホのデータに写真を一枚も残せなかった

最初から居られなかったから割とバタバタしてし

まって結果的に舞の意味とかをじっくり考えなが

ら観ることができなかったのは今回の反省点

実際12時すぎには終わってしまったので

シャトルバスを発見してなかったら完全に見逃す

ことになっただろう危ない危ない

ま、不完全燃焼っちゃ不完全燃焼だけれども

こういうこじんまりとした舞楽が世界に見つかっ

て歌舞伎や浄瑠璃と同じように無形文化遺産とし

て立派に伝承されている面白さを体感できた

特に面白かったのは

別に誰も褒めていないのにもかかわらず

代表して口上を述べるおじさんが

「たった今、お客様の誰かからお褒めの言葉を預

かりました」と言ったところ

一瞬ミルクボーイの漫才の掴みかと思ったが

これはどうやらしきたりの一環らしく

元々この秋保の田植踊というのは集落が別の集落

を招待して行われていたらしく、その中で見せら

れる側が舞を褒め、見せた側がお礼を言うという

流れが存在していた名残らしい

ま、そんな感じで田植踊はあっけなく終わり

境内が小さいのでそこそこ居ずらいということも

あって直ぐに撤収した

寺の真横にいかにも温泉街らしい施設があって

大人300円という破格の安さにつられたけど

あまりにも庶民的というか

オブラートに包まずに言うとボロいからやめた

神経質な僕にはこれは厳しいって

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ならではの面白い場所が見られて良かったけどね

まあこれだけで帰るのもアレなので

 

せっかくだから観光して帰ることにする

ちょっと歩いたところにとあるスーパーがあった

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スーパーにしては入口にディズニーランドと遜色

ないくらいの行列ができていて

なんだろうと思って近づいてみると

その理由が分かった

どうやらこのスーパーでのみ買える秋保温泉の名

物・秋保おはぎが売っているのだ

せっかくだからちょっと食べてみたくなった

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こんな感じでお惣菜コーナーが一番混むという他

のスーパーじゃ有り得ない光景が見られる

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きなことつぶあん購入

ごまもあったし、なんと納豆もあった

ちょっと歩いた先にカルチャーセンターがあった

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のでベンチに腰かけていただきますf:id:kzombie:20240505192057j:image

きなこを先に食べようとしてパッケージを開ける

とこんもりと盛られたきなこが舞い上がった

膝の上で開けてしまったのでおNewのジーパンが

きなこまみれになって最悪!

一旦仕切り直しであんこから行くことにした

結論、2個で350円(2パックで700円)程の美味さは

そんなに感じなかった、マックの方が断然上

あんこの量が多すぎて甘党じゃない僕にとっては

なんかさほど美味しいと感じられなかった

2個目の時点でもうくどくど...

きなこを今度こそそっと開けて食べる

あんこよりずっと美味しい

きなこの甘すぎない甘さがおはぎのしょっぱさと

絶妙に合わさって

口の中を落ち着かせてくれる

まあ単に僕がきなこが好きなだけだと思うけど

順番逆だったら食べきれなかったかもしれない

まあ悪くなかったけど

たかがおはぎを名物にする商魂って

結構がめついんじゃないかと思うのは僕だけ...?

 

さて、これまた秋保名物の磊々峡に沿って歩くf:id:kzombie:20240505195139j:image

なんて景色だろう

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東京では絶対に浴びられない類のそよ風が頬に当

たって非常に気持ちいい

 

そのまま5分くらいずっと歩くと

今回の裏メインの温泉が待ち構えていた

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日帰り温泉の相場があまり分からないけど

古代ローマに負けじと劣らんお風呂好きの僕にと

って絶景温泉に1200円で入れるのは全然嬉しい

温泉は本館と別館にそれぞれあって

本館はまだ清掃中とのことで

別館に入ることにした

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(※画像はイメージです)

肩と腰を酷使する書店バイトの疲れから解放され

る手段の模範解答が見つかった

高級グルメでもない

映画鑑賞も精神的なカタルシスはあれど結局腰に

負担がかかってしまう

模範解答は、温泉につかることだったのかもな

そしてこのグリーンビューである

そうか

これが労働を知ってはじめての温泉になるのか

最高じゃねえか

もうこれで弾丸旅全体の元が取れた感じだけど

ちょっとまだ物足りない

ここは串カツ田中じゃないから

禁断の"二度漬け"タイムだ

 

ということで本館の温泉にも入った

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(※画像はイメージです)

あれだけ壮観だったさっきの景色はまだ序の口だ

ったらしい

景色の色彩がそのままお湯の面にも侵食してきて

大自然に包まれる感覚

僕は今、緑色の楽園にいる

ふと棺桶のミイラの格好をしてみる

冥土ってこんな感じなのかな...

これが冥土 in JAPAN なんつって...

僕は比較的のぼせるのが早いから

ちょっとこの熱さがしんどいんだけど

もうしんどいままでいいかもしれない

馬鹿みたいに頭の中で100数えてあがる

ト、

通路の左側に枝編みのイスがあった

外で全裸になると叫ばれる時代だけど

ただ"露天風呂"という地上の楽園においてのみ、

それが許されるらしい

のぼせた体を外気にあてるこのひととき

みんなサウナで同じことをやってるけれど

サウナはやっぱり人工的だし日本っぽくない

古くから日本では"湯治"という医学的に効果が証

明された療法があって、一体どれくらいの侍や、

文人たちがその療法に救われてきたのだろう

僕はその瞬間を歴史上に名を刻んだ偉人たちと同

じように肌で味わうこの瞬間に人生の意味を見出

してみる

あまりにも気持ちがいいからいつの間にか眉間に

指を当てるポーズをしていた

これじゃフル畑チン三郎じゃないか

でもそんな恥じらいなどはもはや関係ない

都会の荒波に揉まれた僕のこの痛みを

どうかお察ししてください

 

帰りのシャトルバスで爆睡していつの間に仙台駅

ひとつ行きたい場所があって仙山線に乗る

僕の両親は仙台のとある大学で出会って

やがて僕が生まれた

大袈裟かもしれないがそこは

僕にとってのメッカだったりするのだ

大学だけじゃなく、親が勤めていたバイト先、通

学路などいろいろ見て回った

僕がこれからどう生きるべきかを考えながら

 

ま、そんな感じで悪くない旅路だったのではない

だろうか

明日からこの限りある時間を大切にして

頑張っていこうと思う