『哀れなるものたち』

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『哀れなるものたち』を日比谷のTOHOで

正直こういう「シュールなエログロをどうぞ吟

味してくだされ」的な作品は全然タイプじゃなく

あまり食指が動かないのはあるんだけれども、

ベネチアでは金獅子を獲っているし、

主演のエマ・ワトソンはアカデミー主演女優賞が

確実視されているというのをXで見たので、

一応物は試しと思って鑑賞してきた

 

主人公のベラは人造人間。川に身を投げた直後に

ゴドウィンというマッドサイエンティストに拾わ

れ、ベラのお腹の中でまだ息をしていた胎児の脳

とすり替えることで生還した。身体は成人女性だ

が当然脳みそは赤ちゃんなので美味しくない料理

は吐き出すしワガママが通用しなければ大暴れ。

そして脳移植による作用なのか、ベラは理性の発

達がままならないうちに性の欲望を知る。

ゴドウィンが大学から引っ張ってきた助手のマッ

キャンドレスはそんなベラの存在にうんざりして

いたのだが、研究者の性なのか彼女をどこか意識

するところがあって、ゴドウィンの推薦もあり、

ベラと結婚ことになった...。ある日結婚に関する

契約書を作りに弁護士の男がやって来る。この

男、大層なスケベ親父である。まだ稚拙なベラを

言葉巧みに誘導して外の世界に連れ出してしま

う。リスボンの街でベラは弁護士の男とセックス

に明け暮れる。生半可に覚えてしまったものだか

ら中毒になって、やがて弁護士の男の手に負えな

くなってくる。束縛体質な弁護士の男はベラの行

動を制限するためにベラを客船に乗せる。そこで

出会った貴婦人と黒人青年に本を教わる。いつの

まにか世界のあらゆることを知り、弁護士の男を

言い負かせるくらいに賢くなってしまう。男はヤ

ケになってカジノへ行く。ある日、黒人青年が

アレクサンドリアにて貧困スラムの残酷な現実を

ベラに教える。ベラは悲しみ、悔しんだ。

ベラが部屋に戻ると、男がカジノで勝って儲けた

金をベッドにばらまいて寝ていた。気づかれない

ようにベラはその金を貧困にあえぐ人々のために

と、船の看守に預けた。男は目を覚ますと絶望。

持ち金が無くなって真冬のパリに降ろされる。

泊まるところもなく、男は完全に人生を狂わされ

たと言う。そんな最中ベラは体を売って稼ぐこと

を覚え、売春宿の娼婦として働く。その金で大学

に行き、社会主義に傾倒する。男は金を失い、ベ

ラが金でセックスをするようになってしまった事

実を深く悲しみ、頭がおかしくなった。

一方その頃ベラを生み出したゴドウィンは死期が

迫っていた。マッキャンドレスが手術をしても手

遅れ。ベラはその報せを受けてロンドンへ帰る。

ロンドンではもう一人の人造人間が待ち受けてい

た。すっかり賢くなったベラは、その様を見てゴ

ドウィンの所業を憎むが、憎んでも仕方がないの

だと床に伏すゴドウィンに告げる。

「私は医者になる。」

闇雲になってしまった助手のマッキャンドレスと

の結婚が決まり、結婚式を挙げる。しかしそこに

乱入してきたのは、ベラがベラとして生まれ変わ

る前の夫だった。弁護士の男に連れられてきたの

だ。前の夫はベラに戻ってきてくれと嘆願する。

ベラは好奇心で前の夫の馬車に乗る。しかしそこ

でベラは、かつて自分が身を投げた理由を知る。

前の夫の館から脱出しようと決意。しかし前の夫

は拳銃でベラを静止する。ベラは撃たれる瞬間に

前の夫の手を掴み、弾丸はその足元に撃ち込まれ

た。このままじゃ出血多量で死んでしまう。死ぬ

のは見たくないのだと、ベラはまたゴドウィンの

いる家に前の夫を運ぶ。ベラが戻ると、ゴドウィ

ンは最期に勇敢になったベラの姿を見て安心し、

静かに息を引き取るのであった...。そして前の夫

の足を手術する。...そして。もう自分を追わない

ように、前の夫の脳みそをヤギとすり替えてしま

うのであった...。

 

というお話

非常にシュールで中身が詰まっている

その都度の描写が生々しいから、映画体験として

はひじょーにインパクトのあるものだった

ただ僕は好きじゃない映画かな

これでこの作品がオスカー獲っちゃったら、去年

のエブエブ然り、"そういう作品"が評価される流

れになりかねない

映画の本質はもっと人間を真っ芯で捉えていて、

そのエネルギーが明日の糧になるようなものであ

るはずなんだどな