しの映画を鑑賞
ロンドンに向かう国際電車が東欧の田舎駅で雪崩に遭い立ち往生、乗客が泊まった小さなホテルでコミカルな人物紹介ののち、翌朝動き出す電車で事件が起きる。電車の中で出会ったフロイというおばあちゃんが忽然と姿を消してしまうのだ。アメリカの富豪の娘である主人公のアイリスは前夜に夜な夜なクラリネットを吹く変人のギルバートに協力してもらうが、『そんな女性はそもそも乗っていなかった』との証言ばかり。実はその裏では、大きな策謀が渦巻いていた...。
というお話
ヒッチコックは『鳥』ぶりの鑑賞だけど
深層心理の不安を突かれるような展開はこの作品
も同じだった
雪崩で仕方なく立ち往生となった人物の憂鬱を感
じさせる会話劇(ここだけでなんと約30分!)
その翌日、今度は汽笛や車輪の音が焦燥感を演出
する密室劇
やがて終盤で銃撃戦が展開されるんだけどそこの
シームレスさがお見事
この映画最大のポイントは
ヒロインに優しくしてくれた一人の老婆
その老婆が消えたこの映画最大の謎の種明かしと
して、実は彼女はイギリスの諜報員で、医師のハ
ーツが列車の乗客を買収して彼女を拉致しようと
していた...というオチから銃撃戦にすんなり入っ
ていくのが面白い
ただ、この映画は深刻なサスペンスじゃなくて、
時折アイリスとギルバートの会話やほかのキャラ
クターのやり取りにユーモラスな空気が充満して
いて、これは『鳥』のときもそうだったけど、た
だの「サスペンス」「ホラー」にしない部分にこそ、
ヒッチコックの味があるんだと思う
エンターテイナーは別に希望の夢を見させる人だ
けじゃなくて、悪夢を見させるのに特化した人だ
っているし、その最果てにいるのがヒッチコック
ということになる気がする