2023-09-16

散々だった大学の成績表から目を背けつつ、

反省をこめて身体中のイタイツボを押す。

 

そんな今日だからこそ、初見のE.T.が沁みた。

正直あの名場面ばかりに気を取られて内容があま

り入って来ない。

スピルバーグにしては序盤が平坦で、

あまりワクワクしない。

あれ?もしかしてこれってつまらない?

と思っていたのだが、それが大ハズレだったこと

に気がついたのは終盤。

あの盛り上がり方は一体なんなんだろう。

設定としてはただ少年が宇宙人と出会って感覚を

共有して別れるというなんの面白味もないものな

のだが、映画ってのはふしぎで、演出ひとつで知

らないうちに魔法にかけられてしまう。

インディ・ジョーンズジュラシック・パークでも味わったこの理解不能な感情はなんだ?

ジョン・ウィリアムズの音楽も良いのだが、心に

一番響くツボを押されるような演出。

ありえない事に、ちょっと気だるかった序盤の展

開も終盤を見てしまうと間違いなく必要だと思わ

されてしまった。

なんといっても宇宙人と少年の今生の別れを飾る

"イタイ"

という台詞と、エリオットの覚悟を決めた表情で

音楽が最高潮に達してエンドロールという一連の

流れ。

僕は生まれてからずっと、泣くことはあるけど涙

を流すことは滅多になかった。

だから、エンドロールに入るその瞬間に、涙が一

滴だけ頬を伝うという経験は人生で初めて。

それだけ見事に泣かされてしまったという訳だ。

恐るべし、スピルバーグ

 

SFの魔法にかかったまま、夕方は下北沢へ。

ウルトラセブンが、そのなかでも大傑作『狙われ

た街』が野外上映するというのなら、もう僕は東

京にやって来て正解だったと感じるしかない。

当然だが、この間までたくさん居たウルトラセブ

ンを知っている人間は令和にきて少なくなってき

ている。

後ろに座っていた会社員の男女は恋愛や職場の悩

みを喋りながら見ていた。

ちょっとうるさかったし、ウルトラセブンを見な

がらそういう話題をテーマにするのってなんか変

だと思いつつ、2本目の『ノンマルトの使者』に

は思わず言葉を失っていたのを見て、しめしめと

思ったのだった。(笑)

そう、実相寺昭雄金城哲夫、満田かずほといっ

た多くの優れた人間が監督・脚本を担当した、円

谷プロ渾身の娯楽作品『ウルトラセブン』はただ

のヒーローものじゃない。

なめちゃいかんのだ。

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