2023-08-05

f:id:kzombie:20230806113912j:image

東京の夏。土曜日。

イベントなんかやっていないだろうかとTwitter

調べていると、ジュラシック・パーク・イン・コ

ンサートなるものが国際フォーラムでやるらしい

という情報が。

映画の劇伴をスクリーンの下でオーケストラが生

演奏してくれるド迫力の上映方式。

以前国際フォーラムで催されたモリコーネの追悼

コンサートもそんな感じだった。

モリコーネの息子が指揮してくれたNuovo

cinema paradisoとDebora's themeの生演奏の感動

が未だに忘れられない。

ただ、今回はどうやら"完売御礼"らしい。残念。

そりゃ天下のジュラシック・パークだもの。

動物園でも行こうかなと思ったが、なんと当日券

が僅かに残っているという情報が...。

こういう時の僕のバイタリティには底がない。

いつの間にか中央線に揺られて東京駅。

期末テストは寝過ごす癖にジュラシックパーク

コンサート会場にはなんと2時間前に到着。

僕の遅刻癖は欠陥じゃなくて引力の問題だった。

それまでは同会場で開かれていたものづくり展の

ブースを見て回ったりした。

この美しい創作帯。日本は美しい。

結果としてこの経験が世界一美しい映画を際立た

せることになったのかな。

f:id:kzombie:20230806113813j:image

 

当日券売り場に20分前に並ぶ。

A席が目当てだったんだけどS席しかないらしく、

今月はクレジットカードをあまり使いたくなかっ

たのだがここは強行突破。

f:id:kzombie:20230808103608j:image

いざ座ってみるとあまりにいい席で拍子抜け。

俗に言う機材席というものだ。

機材置き場を確保する為に何席か用意されてるも

ので、必要がなかったら当日券の席に回される。

有名なアーティストのコンサートとかだと見切れ

席になるんだけど、今回は運良く最高の席に。

隣の老紳士に話しかけられたので応じる。

昨今の映画事情について色々お話させて頂いた。

どうやらオーケストラ関係者の方らしいのだが、

大学生の頃毎日深夜まで映画を見ていたらしい。

ただその頃の映画はほぼ覚えていないという。

海外映画のロケ地巡り、今で言う聖地巡礼をよく

しているそうで旅の思い出を教えてくれた。

ジュラシック・パークの聖地にも行こうとしたけ

ど当時は大人気でソールドアウトだったそう。

60代になってもそういうかけがえのないものに目

を光らせることができる方だった。

 

いよいよ上映だ。

僕としたことが普段とは違う特別なジュラシッ

ク・パークなのにいつもの様にウトウトした。

僕は映画の序盤で高確率で眠くなってしまう。

何回も目をピキーンってやる。

だけどすぐに閉じちゃう。

生理現象は仕方がないのである。

ただそんな生理現象を吹き飛ばしてしまう映画が

ジュラシック・パークだ。

『見ろ、島だ!』ハモンド博士が言う。

その瞬間オケが空間を揺らしていよいよ恐竜が吠

えるようなあの豪壮なテーマが鳴り響く。

その瞬間漣のように感動が全身を駆け巡る。

その理性じゃない感動が睡魔を払ってしまった。

気づいたら僕もジュラシック・パークの虜。

間違いなくオーケストラの演奏者もあのシーンを

見たいはずである。

だけどそこは映画のためにグッと堪えて、スクリ

ーンを眺める僕達の感動を演出してくれる。

まるでかつての歌舞伎の感動である。

舞台の下で頑張っていた役人たちがいて、そうい

う縁の下の力持ちのために成り立っている。

これは人間にしか生み出せない感動。

見事だった。