2023-07-05

f:id:kzombie:20230705175844j:image

金曜ロードショージブリ展」に行ってきた。

今の子供たちがジブリをどういう目で見ているか

観察したかったのだけど、若めのカップルが多く

て、あいつら写メ撮ってばっかりだから大変だっ

た。

ハッハッハ!

動線で写メとらないでくれたまえいい子だから!

鈴木敏夫が催してくれた展覧会なのに、どうして

鈴木敏夫?誰?」の連中に新・映画道楽の愛読

者が気遣わなくちゃいけないのかね?

それはさておき、時代背景に沿ってジブリのTV放

送の歴史を追えてすごく面白かった。

僕も金ローのおかげでジブリの虜になったので、

すごく感慨深かった。

珍しくグッズ沢山買ってしまった。

 

ジブリ新作、音楽担当は久石譲らしい。

ただただ感激してる。

宮崎駿久石譲が同時に存在する時代がどれだけ

有難いことか。

この間の発表で、本当はリスナーに久石譲で滑稽

と哀愁を説明したかったんだけど割愛した。

時間の都合もあるけれど、久石譲のすごさにはそ

れぞれの感性で出会ってほしい。

僕の感性だと、宮崎駿大自然久石譲は風。

大自然の"凄み"を肌に伝えてくれる存在。

となりのトトロの主題歌はふたつある。

「さんぽ」と「となりのトトロ

なぜトトロだけ主題歌がふたつあるのかというと

「さんぽ」が子どもに向けた曲で「となりのトト

ロ」が大人に向けた曲だからだ。

前者は中川李枝子で、後者は宮崎駿が作詞した。

作曲はどちらも久石譲

どちらもあそこまで歌詞が聞き取りやすいBPM

曲はなかなかないと思う。意図的なのかな。

「子どもの時にだけあなたに訪れる」

の"あなた"はどう考えても大人に言っている。

子供の感性を忘れて大人になってしまった人への

皮肉と、そういうふうに生きていかないといけな

い現代の切なさをよく表している。

あの歌詞自体宮さんの頭の中なので、言ってしま

えば答え合わせなんだけど、それを言ってしまう

と面白くないので発表では言わなかった。

そして明るい歌詞とは裏腹に、曲の至る所に顔を

出すマイナースケール。

どことなく切なさを感じるようになっている。

"子供の時にだけ~♪"も"秘密の暗号森へのパスポー

ト~♪"も非常に切ないコードで歌われる。

マイナースケール使ってるのに、ふつうの人には

"切ない"と思わせないのが凄いところだ。

ただ切ないんじゃなくて、明るさと行き来できる

ような音楽が久石譲の天才たる所以。

このEDは劇伴でアレンジされていて、ポップな感

じとストリングスで切ない感じの2種類ある。

毎度おなじみ"夢だけど、夢じゃなかった!"のシ

ーンは久石譲の真骨頂。

お祈りのシーンで生命の神秘を感じる風の通り道

が流れたと思ったら、今度はトトロがコマに乗っ

て空を飛ぶシーン。サツキとメイが思い切りトト

ロに飛びつくと、非常に楽しいEDアレンジが流

れ出す。

月夜にトトロが大口開けて叫ぶ。

メイとサツキも負けじと、グァァァァァァァァ!

するといちどカメラがトトロから離れる。

ここでいちど離せるのが宮崎駿だ。

このシーンは"彼らは何をやっているのだろう"と

一度冷静になれる猶予だと僕なりに思ってる。

再びトラックアップ。今度は切ないEDアレンジ。

そこで「メイ、私たち風になってる!!!」

と、大人になるギリギリのタイミングでトトロに

出会えたサツキが言う部分に感動がある。

トトロに滑稽を見出すと、この部分でものすごく

感動できるようになっている。

ここの久石譲の緩急はお見事。

ここまで滑稽と哀愁の緩急を出せる音楽家ほかに

いないんじゃないかな。

人生のメリーゴーランドも三拍子だからいい。

人間って足が2本だからしっかり四拍子で歩くん

だけど、心臓は常に三拍子。ト・ク・ンでなり続

けている。

三拍子は一拍目にアクセントがあるけど、人間は

歩くのにアクセントなんて必要ない。

あるとき四拍子が崩れて、不格好な三拍子になる

瞬間が訪れる。

はたから見ればその様相は滑稽になってしまう。

それでも。

心臓は胸の奥で三拍子のまま鳴り続けている。

ゆっくりと。生まれた時からずっと。

 

僕の歌詞に曲をつけてくれた竹中さんというギタ

リストと、歌ってくれた太田さんという綺麗な女

性が開催するライブに招待された。

5限終わりに急いで渋谷に向かう。

場所は骨董通りにあり、表参道のど真ん中という

ものすごい場所にある。

ここは僕が来ちゃ駄目な場所なのでは?

と思ったけれど、いざ入ってみると小さめのスタ

ジオだけど非常に音響がよく、お客さんも50~60

代くらいの人がたくさんいた。

僕は内山さんに招かれたテーブルには僕を大賞に

選んで頂いた三田先生と、阿久悠先生のご子息が

座っている。思わず背筋が伸びてしまう。

三田先生が唐揚げを買ってきてくれていて、非常

にお腹を空かせていたので助かった。

一曲目が終わって、太田さんがギターを置いたの

だが、そのギターがバタン!と倒れてしまった。

前代未聞のハプニング。幸先悪すぎる。

だけど竹中さんがボソッと笑いをとってフォロー

して、太田さんがアタフタしてるその姿に会場の

みんなは大爆笑。

その瞬間、この空間が大好きになった。

ラクションやエンジンの音しか聞こえない東京

にこんなに暖かい場所があったのか、と。

太田さんもただの綺麗な人だと思ってたけど、歌

っているときは世界一楽しそうで、表情豊かに、

声色も七色に歌える人だった。

東日本大震災がテーマの曲の途中の常連が一斉に

歌い出す瞬間があって僕は思わず涙が零れそうに

なった。

ギターと歌声だけじゃなくて、お客さんの笑い声

が響きあってすべてが反響してひとつの"音楽"に

なっている。

この間世界ふれあい街歩きで見たバーリの旧市街

のような場所が日本の雑踏の中にも存在していた

ことにただただ感動した。

僕はそういう気持ちを阿久悠先生のご子息と三田

先生にぶつけたかったのに、内山さんが毎回話の

腰を折ってくるもんだから全然喋れなかった。

せっかくだから仲良くなりたかったのに...。

エノケンのプレゼンをしたことだけ伝えられた。

あの空間は間違いなくエノケンのホームだった。

ハプニングがなければ起きなかった喜怒哀楽をお

客さんはみんな大切にしていた。