2023-07-11

4限の社会意識論は今日も特別講師のプレゼン。

先週は意識高い系大学生の自己満プレゼンを永遠

と聞かされる訳のわかんない時間を過ごした訳だ

けど、今日は若いお兄さん。ヒーローショーのお

兄さんみたいなテンション感でいきなりビビった

けど、このテンションは掌握のための計算なんだ

ろうなあとすぐに分かったのはその人がプレゼン

で語る内容が非常に核心をついてるから。

あっきーと呼んでください!って言ってたからそ

う呼ばせてもらう。

 

あっきーは非常に賢い人だった。

逆にプライドと自己嫌悪の狭間でぐるぐるしてる

モラトリアム大学生にとってはウザく感じるよう

なプレゼンだろうなあとも思った。

 

あっきーは子供を大自然に触れさせる学校で教師

をやっていながら、ベンチャー企業の社長などに

コーチングする仕事もやっている面白いキャリア

の人だ。この経歴を聞いただけであっきーが賢い

人であることに気づける大学生は何人いるのだろ

うか。

 

教師にはいろんなタイプがいる。

親の言いなりで教師になった"義務教師"もいれ

ば、子供と接するのが好きな"やりがい教師"もい

る。自然学校の教師はほとんど後者だと思う。

ただ、自然学校の教師って子どもに接するのは好

きなんだろうけど、どうしても大人として子供と

の間に境界線を引いてしまって二人称視点で子供

と付き合うようになってしまう人が僕が知る限り

ではほとんどだった。

「ここにはこういう虫がいます!」

「ここの川にはこんな魚がいます!」

言ってしまえばそんなの募金と同じで、自己満で

しかない。だってその先生がいなくとも別に子供

は勝手に自然に馴染むから。逆に虫とか魚の名前

を教えてしまうのは子どものネバーエンディング

ストーリーに終止符を打つようなものだ。

大切なのは好奇心の導火線に点火してあげる事。

それを行っている教育者の模範解答がサツキとメ

イのお父さんになるんだからやっぱり宮崎駿はす

ごい人だと思う。

お父さんがお化けの存在を吹き飛ばすためにワッ

ハッハッハ!と言わなければサツキとメイが不安

を感じた時にトトロが助けに来なかったかもしれ

ないし、"森の主"とか"まっくろくろすけ"とか見

えないものの存在を伝えてあげなければ、見える

ものだけの世界観に子供の好奇心が狭まってしま

うのだ。

 

ちなみにあっきーは、

「今日も午前中は子供たちとみんなで川の端を探

しに行ってきました。」と言っていた。

先週の分かりやすい在り来りなプレゼンを聞いて

いた大学生は「うわ変なこと言い出した」とか思

った人もいるんだろうけど、僕は感動した。

これって実は非常に大切なことで、"川の端"とい

う抽象的で本当にあるのかも分からない概念を子

供たちに探させることで、"見えないものを見る

力"すなわち一人一人の"感性"を育てる教育だ。

素晴らしいと僕は思う。

今の日本の一番の問題として今の子達、そして、

これからの子達は、自分の感性に自信が無い。

とくに小学生のうちから東京のエスカレーターと

か電車のムズムズ感を経験しなきゃいけなくて、

適応するように育てられる子達って本当に可哀想

だと思う。

目に見えないお化け(=自分の感性)じゃなくて目に

見えないルールやレール(=周りの空気)に従って生

きていくしかないのだ。

僕も自分の感性に自信が無い頃は迷走してた。

だけど、文学賞を頂いて自分の感性が好きになっ

た瞬間に義務的な探究心だけだったものに幼少の

好奇心が十年ぶりに目を覚ました結果の今の自分

のすることを愛せるようになったということをあ

っきーにリアクションペーパーで伝えた。

きっとこんなに蒙古斑がない大学生があの中に存

在してたことを喜んでくれると思う。

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それからベンチャー企業コーチングというの

も、大人の凝り固まってしまった思考を否定する

んじゃなくて、"ほぐしてあげる"ような活動だと

思う。そこにあるのは"考えの押し付け"じゃなく

て"考えの引き出し"であり、さっきのあっきーの

教育方針と共通して言えるのはひとりひとりの考

え方の尊重。すなわち人間性の尊重。

どこか僕のプレゼンと通ずるものがあった。

 

そして今日みたいにケツの青い厄介な日本の大学

生にもわざわざコーチングをしに来てくれるの

も、彼は多分大学が相当アウェー空間なのもよく

理解してるだろうし、この間の女の子みたいな自

己満じゃなくて、大学生ひとりひとりの将来を考

えた上でのあっきーの使命感だと僕は思う。

 

あっきーがプレゼンで熱弁していたのは自分を

タ認知して何事にも問いをもつことの大切さ。

それから、人生は8割が偶然で成り立つが、その

偶然にポジティブになった人ほどキャリアアップ

できるというプランド・ハプンタンス理論を引き

合いに出して大学生に生き方のビジョンを提示し

ていた。

 

だけど可哀想に、その理論は正しいのに、気持ち

悪い縮れ毛の大学生が「それは間違っていると思

います。」とか言いやがって、僕のプレゼンのと

きと同じく、あっきーが全力でプレゼンした内容

が一蹴されてしまった。

レールのままに生きてきて、親の言いなりからや

っと解放されて、自由に生きられると思ったら結

局...。僕は正しい!けどどうして?どうして周り

は否定してくるの?僕の人生ってどうしてこんな

についてないの?

そんな苦しそうな目をしている。

 

でもそのモラトリアム・ブロッコリーは"どうして

間違いだと思うか"は言わないのです。

いや、言えないのです。

そこが彼の弱さなのです。

残念ながら彼は所詮ケツが青い。行先が分からな

い悶々とした毎日に図星を突かれた彼の発言はデ

ィベートじゃなくてただの強がりなのです。

強がりは自己の保身と他者の否定。つまり悪意。

純粋悪じゃなくてメタ認知が足りてないことが原

因の悪あがきなのです。

それに対してあっきーは

「ごめんね(笑)本当はみんなに説教するみたいな

感じになっちゃうの嫌なんだけどね(笑)」

「それでもみんなの人生が豊かになることを願っ

ていますので。」

と大人の返事をしてた。

その発言でこの人がメタ認知をできている人だな

っていうのも分かるし、逆にあの熱量のプレゼン

を聞いても尚その大学生と同じ思考でいる奴が他

にもあの空間にいるんだとしたら残念だ。

あっきーのTwitter見たら"反省点もありました"っ

て言ってたけど、あんなに元気な人が反省する訳

ないんだから、つまりはあのテンションは演技だ

よね。ますますあっきーを労いたくなった。

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そのあとあっきーと内藤先生の対談ショーが始ま

った。自分のいじめ経験への憤りを僕みたい

な"情"じゃなくて完全に"理"の方で浄化するタイ

プの内藤朝雄の自分語りにタジタジ。

内藤朝雄全然メタ認知できてないやんけ!

「実は今の学校って軍隊で...ベラベラ」

「風越学園って身分格差とかも全く感じさせな

い。遠くからわざわざ集まってくるんじゃなくて

近所に住む生徒たちがそこを選んで成り立ってい

る部分に非常に興味が...ベラベラ」

5分くらいの自分語りのあとにようやく飛んでく

る質問をあっきーがなんとか聞き手として分かり

やすく大学生に噛み砕いてくれる。

「つまり、僕の学校は規律とかじゃなくて個性を

尊重している。そんな学校に近所から沢山人が集

まってくるのはどうしてだという質問で間違って

ないですね!?(笑)」

僕だったらお兄さんキャラ捨てる。「お前が聞き

手じゃボケ!」って言う。

あっきーがメタ認知できてる人だとすれば、

「あ、多分今の内藤朝雄とのやり取りで大学生た

ちに下に見られた。これじゃ僕のプレゼン持ち帰

ってくれなくなる。」

って思うだろうから、あっきーが退場するときに

人一倍拍手してやった。