バイト先に新しく28歳の女性が加わった。
性格は非常に落ち着いていて、大人な人だ。
まだ3回目と言っていたけれど、
応接話法も僕よりきちんとしているではないか。
元看護師らしく、おそらく大学には通っていない
人なのだろうけど、大学に通って相当頭が良くな
って、一方で社会とかいう訳の分からないものと
戦い続けているトゲトゲマインドの僕からすれば
結構絡みずらい人種の女性ではある。
自己紹介の意をこめて、
「大学2年生で演劇を専攻していて、今は脚本を
学んでいます。」
「特に映画が好きで、ジブリ映画にハマってま
す。」
と言ったら、
「へぇーなるほど、すごいですね。」
とほぼ一定のトーンで返ってきた。
やさしい人の興味薄対応が一番グサッとくるのだ
が、たぶん僕が大学でよく喰らう悪意のメタファ
ーとは違って、純粋に、あまり興味が無いってい
うときの反 応だ。
僕みたいに頭を良くして、日々幸せを追求する人
もいれば、純粋に生きて身近に幸せを感じる人も
いるのだと、自分の盲目になっていた部分に気づ
くことが出来たのは、紛れもない、この女性のお
かげだ。
まわりに大学生ばっかりだったので、
"なにかやりたい"とか"僕はこうありたい"といっ
た弾丸が飛び交う戦場みたいな場所にいすぎて、
あまりにも感覚が麻痺していた。
こうやって毎日、学んでいくのだ。