職場の先輩であるイナバさんがスーツ姿でいつも
よりも30分遅く入ってきたので、なにかあったん
ですか?と聞くと今日は試験だったとのこと。
試験の日は僕だったら当たり前のように休むけ
ど、やっぱり弁護士目指す人は凄いなと思う。
浦和レッズや海外サッカーや女性アイドルの話を
してくれるので、堅実なオタクって印象ですっか
り忘れていたが、おそらく狭き門をくぐり抜ける
ために毎日努力していて、尚且つアルバイトもし
ている凄い人だ。
余裕がなくて僕みたいな手持ち無沙汰な大学生に
対して苦手意識を持ってもおかしくないのに、い
つも的確に仕事をこなしつつ、イレギュラーが起
こってあたふたしている際にフォローしてくれた
り、そして毎週サッカーのお話をしてくれる。
イナバさんほど周りが見えている、倫理観をしっ
かり弁えている人間は見たことないし、まさに弁
護士に相応しい人格を有していると思う。
というか善悪プラマイゼロ理論で生きてる自分か
らすればイナバさんは優しすぎるといっても過言
じゃない。
そういう人間ですら一度落とされているという事
実を本人の口から聞いたことがある。
それだけ難しい関門なのか、それとも今の弁護士
に求められている人材がそういう人ではないのか
その辺は僕には分からないので、『いつもイナバ
さん見てると絶対受かってると思います』みたい
なぎこちない一言しか言えなかったけれど、
でもどうか善因善果、
いいニュースを聞けたらいいなと思う。