2023-12-07

講義終わりに六本木へ。

こんな大人の街になんの用があるのかというと、

トーキングブルース『現代の信仰』。

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古舘伊知郎をついに拝むことができる日が来た。

僕の語彙の先生。

もちろん文学と映画に学んだものが多いのかもし

れないけれど、当意即妙の部分は完全にこの人に

影響を受けた。

仏教、新興宗教陰謀論、推し活。あらゆる"信

仰"を捉え、静と動の絶妙な話術、ユーモアとその

年輪でもって2時間半一切絶やす事なくテーマを

繋げてゆく姿に感動。

僕自身文学賞をとり、どうして自分が賞をとれた

のかを探す旅に出てそこで民俗学に出会い、実際

に"信仰"の現場に出向いて、その素晴らしさを肌

感覚で味わい、それが映画体験に活きるんだな。

スタジオジブリを中心に、映画で描かれる"信

仰"に日本人のアイデンティティを享受し、映画体

験の大切さを学ぶ上半期から、社会問題を透徹な

眼差しで見つめるようになった下半期。

"信仰"を意識し今回の話題である"現代の信仰"と

向き合った1年の最高の総決算だった。

二階席の一番上に座ることになって、最も高い所

から古舘さんを見下ろす事になったのだけれど、

今まさに数百の自我の壁に向かって今日まで69年

膨らませ続けた己の自我をたった一つ、水も飲ま

ずに闘わせ続ける人間のそのスピリットと舞台袖

にはけていく背中は完全に刻まれた。

約2時間ぶっ通しの饒舌が僅かに鈍ってきて流石

に人間の限界かと思った瞬間、僕の耳には

SASUKEで馴染んだあの実況が始まる瞬間の高

揚。キレが戻るとかじゃなくて、声色そのものの

ギアが変わるような感覚が凄かった。10代残り僅

かにして憧れの人の生実況が聞けたこと、本当に

素晴らしい一夜だった。