2023-12-12

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公式が期間限定でYouTubeにupしている、

かみちゅ!』の1話を久々に観る。

今年一年を振り返る上でこの作品と出会った頃、

梅雨の時期は欠かせない。

雨に濡れた木々や草原の"匂い"が自然を意識させ

るあの季節に僕は神様と出会った。

世間では"神ドラマ"とか"神対応"とか至るところ

に神様がいて、令和にも八百万の神がいることは

いるのかもしれないけど、あいつらは全部かりそ

めの、効力の強い一時的な神にすぎない。

日本には元々、ちょっとだけ人生に幸せをもたら

してくれる神様がいてそれが本来の八百万の神

きっとあの森やあの川にいる。

僕は広島のあの原風景で神様と出会って、

ジブリの色彩が豊かになった。

やがてジブリがフィクションの価値を教えてくれ

て、その見え方が劇的に変化した。

今こうして、残りわずかのティーンエイジを握り

しめて次のステップに臨む体勢が整っている。

このように、

神様はちょっとだけ人生に幸福をもたらしてくれ

るじゃないか。

10代の日々に忘れものをして大人になろうとする

人間で今の世の中はありふれている。

でも、あの頃の感性を自覚して、大切にしなが

ら、他人との距離感や倫理観を養っていくことが

本当の大人だと僕は思う。

その1つが、好きなものを好きと言える感覚。

昔の深夜アニメは今よりもっと気持ち悪くて、

それだけにもっとのめり込める作品が多かった。

かみちゅ!』もそうだ。

この作品には、僕が日本のアニメに求める、

"自然風景"・"制服"・"自転車"・"神様"

この四つの柱が全部入っている。

そして最も素晴らしいのが、

"気持ち悪さ"のエッセンスがあることだ。

それは別に意図的にやってる訳じゃない。

"このエグみが素敵でしょ?"という感じがする今

のアニメと違って、造り手側の本気の情熱が気持

ち悪い場合。やっぱり深夜アニメにはどっか触れ

づらいような気持ち悪さがあって、それを向こう

側は全力で提供してくれる。こっち側もそれを自

覚しながら、全力でぶつかることが"萌え"であ

り、"腐"であったりする。

本来キャラ萌えは"キャラクターが可愛い!"とか

そんな単純なものじゃない。

もっとこう、その子の生き様を見習いたくなるよ

うな、そんな可愛らしさなんじゃないかな。

僕はキャラ萌えはしないけど、少なくとも今もコ

ミケに行けば見ることが出来る絶滅危惧種の古風

なオタクは、常にキャラクターのぬいぐるみと人

生を共にしたり、凄い人はキャラクターの精神を

宿している。もはや推しじゃなくて伴侶。

それこそが日本が誇る素晴らしきオタク文化だっ

たはずだ。

あの頃の気持ち悪さをまだ大切にしてるアニメは

今はもうほとんどなくなってしまった。

あれもこれも商業的。別の意味で気持ち悪い。

その気持ち悪さは人生に永続的な幸福をもたらさ

ない。与えるのは一瞬の快楽だけ。

そうじゃなくて深夜アニメ特有の、気持ち悪さを

自覚した上でのカタルシス

このアニメのノリ気持ち悪いな、でも素敵な街並

みや自然風景は本当に美しく描かれている。この

子のように全力で生きることで、僕が生きるこの

街もきっと美しくなるはず。この感覚。

今この感覚を大切に握りしめていそうな監督は、

新海誠だけ。

男女の入れ替わりとか椅子になった男子との旅と

か、見てる最中は面白いけど、ちょっと感性を冷

ましてみるとふつうに気持ち悪い。

日本最高峰の文化の先頭に立つ人間が、

よくぞあそこまで気持ち悪い人間でいてくれるな

あと本当に感動してる。

これからもどうか気持ち悪いままでいてほしい。