2023-07-24

故・横田慎太郎選手の特集がやっていた。

ドラ2で球団入りするくらい強くて逞しい人でさ

えも、脳腫瘍という病には負けてしまう。

それでも横田選手は最後まで闘った凄い人だ。

胸に刻むべき人間がまた一人増えた。 

若くして生命を絶たれるにはあまりにも勿体ない

真っ直ぐな人間性があったと僕は信じてみる。

https://youtu.be/1DfZZNI3knk

表情も声も、なにひとつ嘘をついていない。

それって大抵の人間はできない。

努力を積み重ねられる才能を持っているアスリー

トの、一度成功した後でもそれを継続できるほん

のひと握りの人間だったことを感じる。

横田選手の涙。

彼にとって、死ぬことよりも野球が出来なくなる

ことの方がずっと辛かったんじゃないか。

あの涙をいい涙だと思ったらそれは綺麗事だ。

あれは間違いなく悔しさと無念から来る涙だ。

きっと病気がなければ、今後も虎のユニフォーム

に身を包んで大好きな野球を続けて、熱狂的なフ

ァンに応援されて、それに応える素晴らしいプレ

ーをして、年俸を沢山貰って、素敵な女性と出会

って、野球人生を支えてくれた両親に夢を見せ

て...。

だけど全部叶わないものになってしまった。

そんな理不尽でいっぱいの早すぎる花束。

少なくともそれは努力の人間にとっては、貰って

100%嬉しいものではなかったと思う。

家族から花束を貰う瞬間の表情に全てが詰まって

る。家族のよくがんばったねが、かえって胸に突

き刺さってしまうような。

そういう心情が間違いなくあると思う。

神様は素晴らしい人間ほど突き放す。

どうしてこの人が死ななきゃいけなかったのか分

からなくてすごくムカつく。

もっと理不尽を味わって生き方を見直すべき人間

がこの世にはいっぱいいるじゃないか。

けど横田選手は最後まで神様に感謝したんだな。

あの引退試合バックホーム

世間はあれを奇跡のバックホームだという。

本人もあれを神様は見ていたと語った。

横田選手は脳腫瘍の症状で引退試合のときは野球

をできる視力ではなかった。

あのバックホームは、プロ野球選手のレベルなら

当たり前のプレーかもしれないが、視力の弱い横

田選手にとってはそうではない。

それは間違いなく奇跡だった。

ただ、僕はあのプレーを奇跡だといっぺんに言っ

てしまうのはどうかと思う。

あれは努力の証だ。

野球だけじゃなくて、生きようと本気で努力した

人間にしか与えられないものだ。

この世に神様なんていない。

結局神様なんて人間が不条理を誤魔化すために創

り出した馬鹿みたいな理想でしかない。

世界のあらゆる宗教においても、僕は神様自体に

はなんの能力もないと思う。

ただ、同時に神様がいるいないに問わず、"信じ

る"を貫き通すことで奇跡だって当たり前になって

しまうとも思う。

だからあれは当たり前のプレーだった。

ただ、"信じる"ことが100%成功をもたらすなんて

そんな甘い話は残念ながらない。

だからあれは奇跡には違いない。

それでもあの奇跡は、彼が病気に負けずに自分を

信じ続けられた最高の人間性がもたらしたものだ

った。

横田選手は理不尽な不幸に見舞われたとは思うけ

れども、引退試合のあのプレーと、たくさんの人

の感謝と声援は僕にはとても幸せそうに映った。

人生は長さじゃない。

横田選手がそれを教えてくれた。

引退後は中学校で自分の経験を教えていた。

そういう部分からも自分に出来ることを横田選手

が最後まで追い求めた素晴らしい人だったと思

える。

呂律もうまく回っていなかったが、それは間違い

なくこれから人生の荒波を経験していく子供たち

の胸に刻まれたと思う。

人間が不条理に打ち勝つための唯一の方法。

それは"継承"だ。

僕はあの奇跡を、ただの奇跡じゃなく、努力が実

を結んだ当然の奇跡として胸に刻んでやる。

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